Coffee

メニューに載ってあるけどいつも頼めないベアポンド・エスプレッソの「エンジェル・ステイン(天使のシミ)」を飲んだ話

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食べ物なんか、うまいもまずいも胃袋におさまってしまえばみな同じで、あとはうんこになるばかりと言われれば話は終わりだけど、うんこになる前の口の中に入る前のつかの間の感動を味わったり、だれかと美味しさを共有できて笑顔になる事は幸せだと感じてる自分にとって、食事は結構重要なポイントだ。

珈琲は毎日欠かさず飲んでいて、その日の気分に合わせてお気に入りの豆、豆の量・挽き方、お湯の抽出温度や速度を(適当に)変えて抽出量による変化を楽しんだり、自宅で淹れるのが難しければ100円くらいの適当なコーヒーを飲んだりする程度の珈琲好きではあるけれど、エスプレッソに関しては、どのエスプレッソもそんなに変わらないだろうと高を括っていたのが5~6年前。
*その前だと旅の高揚感もあってかローマの「カフェ・グレコ」で飲んだエスプレッソは美味しかったぐらいの記憶だ。

自分の中でのエスプレッソに対しての印象が変わったのは、倉敷のあるカフェで頂いたエスプレッソがきっかけだ。
妻と直島に行く前に倉敷旅行でも挟んでみようとなんとなく計画した倉敷で何やらおいしい朝カレーが楽しめるKAFE工船系列のお店があるという事でふらっと寄ってみた。そして噂では良く聞いていたオオミヤミノルさんを初めて見かけたのもそのお店。「Cafe Gewa」


メニューを見てみるとカレーとエスプレッソがあったので頼んでみた。オオヤさんがその日は店頭に立っていたので、カレーやエスプレッソを準備されている間にKAFE工船や好きなコーヒーの話をした記憶があり、何やら興味を示してくれたのか、いつもと違うエスプレッソを出してくれるというのである。

出されたエスプレッソを飲んだ瞬間、笑みがこぼれた。
エスプレッソってこんなに粘度があって、少し酸味のあるチョコレートみたいに濃厚でコクがあるものなんだと。オオヤさん的には当時のエスプレッソはまだ試作段階でこれから改良を重ねて店頭でお出しするような事を言っていた記憶があり、2年半前にCafe Gewaを訪問した際には、当時と限りなく近いエスプレッソがお弟子さんみたいな人に引き継がれていた。感謝もあり、オオヤさん著「コーヒーの建設」を倉敷の本屋さんで購入した記憶がまだ鮮明だ。
https://seikosha.stores.jp/items/59eacd02428f2d5e5b00183f

オオヤさんから下北沢にある「ベアポンド・エスプレッソ」のエスプレッソを真似して作ったという話を聞いて、俄然行きたい気持ちが高まった。ただオーナーの田中さんは普段あまり居ないし、お店自体も長い時間開けていないかもとの事だったので、少し足が遠のいていて実際にお店に足を運んだのは、それからたぶん2年くらい後だった記憶がある。

ふとしたきっかけで下北沢に立ち寄り、ベアポンドに向かってみた。
初めてベアポンドを訪ねた時は、若い大学生くらいの男の人が店頭に立っていて、あきらかにオーナーさんじゃないと一瞬でわかった。エスプレッソのメニューとしては、シングルショット(400円)、ダブルショット(550円)、エンジェル・ステイン(690円)とあり、もちろん「エンジェル・ステイン」を頼んでみたところ、

すみません、エンジェル・ステインはオーナーが居ないと出せないんです

との回答。ではオーナーさんはいつ居るのか伺ったところ、普段はニューヨークに居るのでいつ日本にいるのかは不明との事で、ひとまずダブルショットを飲んでみた。Cafe Gewaで飲んだエスプレッソの記憶がよみがえるような濃厚なエスプレッソだった。
自分の中でのエスプレッソの概念が変わったくらいめちゃくちゃ美味しい!

その後、シンガポールから日本帰国の度に寄るようになったベアポンド。ただいつもオーナーさんは不在なので、エンジェル・ステインは自分の中で幻の飲み物のまま、三島由紀夫の「金閣寺」の主人公のようにエンジェル・ステインほど美味しいエスプレッソはないといった感じで、どんどん自分の中で美化されていった。

当時でいうと、神保町の「インドカレー・カーマ」もメニューに載っているのに、「やさいカレー」を頼むといつも品切れですみません、と言われていたのを思い出した。友人とはカーマの店長が悪魔と契約していて、「やさいカレー」をメニューに載せる代わりに他のカレーの味が美味しくなるとかなんとかで出せないんだと勝手な妄想をしていた記憶がある。
そんなこんなで、2018年12月に歯の治療で日本へ緊急帰国することが決まった(*シンガポールで歯の治療をすると内容にもよるけど、数十万くらいの金額になる可能性が高い)と同時に「エンジェル・ステイン」を飲むチャンスも訪れた。

記事(下記)に載っていたオーナーの田中さんが居た!
http://www.newyorker.co.jp/magazine/lifestyle/coffee/3845/

その日は友人を連れて、ベアポンドのドアを開けた瞬間にオーナーさんが居ることがわかり、店内も少し賑わっていたので、注文のタイミングをドキドキしながら待ちながら、「エンジェル・ステインで」と頼んでみた。

エンジェルステインは今日出せないんだよね

との回答。神保町カーマの「やさいカレー」と同じく、もしかしたら悪魔と契約しているのかもしれない。わざわざシンガポールから来たみたいな恩着せがましい事は店内外国人ばかりだから言っても仕方ない事はわかったけれど、どうやったら飲めるのか少し考えて、「実はオオヤさんにオススメされて来たんです」と話しかけてみた。

すると、田中さんがものすごく食いついてきていろんな質問をしてくれて、コーヒーの話も15分くらいしてくれたのである。だけど、その日はやっぱりエンジェルステインは頼めなくて、帰ろうとしてた時に田中さんから

君名前は?あとお友達の名前は?

と尋ねられた。名前を告げた後に田中さんから

名前覚えたから次来た時はエンジェル・ステイン出すね。お友達も

みたいな事を言って頂いた!それからウェーブってものはそもそもいつもアメリカから起こしたものだということで今はフォース・ウェイブを起こしているのだそう。おそらく日本や東南アジアに来るのはもう少し先のようだ。個人的にはフォース・ウェイブよりも悪魔と契約された飲み物である「エンジェル・ステイン」の事で頭がいっぱいだった。僕は今まで気に入ったお店ができると「また来ます」と言って翌日再訪するという癖がある。
そんなこんなで田中さんが居るかはわからないけれど、明日再訪しようと心に決めた。そして前日胃腸炎になってしまった友人も無理やり連れて、翌日も行ってみたら、なんと翌日も居てくれた!店頭に立っていた田中さんへ

エンジェルステインでお願いします。

とオーダーすると何食わぬ顔で了承いただき、数分後に幻のエンジェル・ステインが出てきた。田中さんのインタビュー記事の中で、下記のようなコメントがあった。

「エンジェル・ステインと名づけた私のエスプレッソ・ショットの理想は、マラドーナとの撮影の時に遭遇した本場のアルゼンチン・タンゴ。娼婦が踊って男を誘惑するときの、その余韻をエスプレッソで表現したいんです。」

正直、そんな余韻を感じたこともないので何言ってるかよくわかんないけど、胃腸炎の友人がコーヒー自体を飲むコンディションでなかったのはあきらかだった。テイクアウトをしたことがないので、よくわかんないけど、テイクアウト用の紙カップには

「Coffee people have to be Sexy(珈琲人はセクシーでなきゃ!)」

と書かれているそうだ。そして昨日と同じ服だと覚えてもらえてる確率が高いという事で、同じ服で臨んだ僕たちはエンジェル・ステインを飲むにはふさわしいとは言えない、セクシーとはほど遠い下手したら臭いかもしれない恰好で「エンジェル・ステインを飲む」という貴重な体験はできた。

しかしながら、正直ダブルショットのエスプレッソとエンジェルステインとの違いがよくわからなかった。
お金を払うだけでは飲むことができないエスプレッソ。たぶん紹介制のような形だと飲む事ができるのだと思うけど、自分の人生の中で達成感が得られた貴重な体験に感謝。普通のエスプレッソとエンジェル・ステインの違いについて、もしご存知の方がいらっしゃったらぜひ教えてください。

CAFE GEWA
URL:https://ooyacoffeeassociees.com/navi/cafe-gewa/
岡山県倉敷市阿知2丁目23−10
086-441-7890
木曜定休
0800~1800

 

ベアポンドエスプレッソ
URL : http://bearpondespressoroasters.com/
東京都世田谷区北沢2-36-12
03-5454-2486
1100~1730

 

インドカレーカーマ
食べログURL :https://tabelog.com/tokyo/A1310/A131003/13000243/
東京都千代田区神田猿楽町1-2-3 UTビル1F
03-3233-8787
日曜定休日

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