Coffee

世界一美味しいコーヒーの淹れ方

2020年4月25日

⌛この記事を読むのに必要な時間は約6分2秒です。

2014年のワールド・バリスタ・チャンピオンシップにてアジア人初の世界チャンピオンになられた井崎英典さんの「世界一美味しいコーヒーの淹れ方」という本。

挑戦的なタイトルを見て少し敬遠気味に購入を見送っていましたが、著者である井崎英典さんのインタビューや淹れ方の動画を見て、非常に興味がわいたので、漸く重い腰を上げて購入してみました。

結論から言うと、買ってよかった!と思える1冊となりました。

誤解を与えやすいタイトルですが、著者の言う「世界一美味しい」とは自分が本当に美味しいと感じられる自分好みの1杯を意味していて、あくまで「自分好みの味」を知り、あなたにとっての「最高の1杯」を自宅で淹れる方法にこだわった1冊となっています。

誤解されないためにも、プロローグは大事なので述べられている一部を紹介いたします。

世界一美味しい1杯に正解はありません。美味しさの定義とは文化背景や食生活にも影響を受けますし、それによって「正解」は変わるものです。

コーヒープロフェッショナルが「素晴らしい」と感じた品質が世界中すべての人にとって「人生最高の1杯」になり得るかと問われれば、答えは間違いなく「NO」でしょう。理由は単純明快で、品質的な正解と嗜好的な正解はまったくの別物だからです。

私は「世界一美味しいコーヒー」とは、「正しい品質の範疇に存在する自分好みの味わい」だと思います。本書は「世界一美味しいコーヒーの淹れ方」を謳っているわけですから、品質的な正解とは何かを示した上で、究極の「自分好みの味わい」を探り当てることがゴールです。

 

つまり、著者の言う「世界一美味しいコーヒー」とは、正しい品質の中における自分好みの味わいのこと。になります。

特にこれからコーヒーを趣味にしたいけど、どういう判断基準でコーヒー豆を選んで、抽出すればいいかわからない人にとっては、本書をじっくり読んでいけば正しい品質の中における自分好みの味わいについて本書がコンパスになるかもしれません。
(個人的にはこの本以外にもコーヒーに興味がある方は他の著者の本も読んでみることをオススメします)。

著者は、コーヒーの味わいに影響を与えるのは次の6つの要素と言われています。

①~③豆(生産国・品種・生産処理)
④焙煎(浅・中・深煎り)
⑤挽く(粒度、粗・中・細挽き)
⑥抽出(重さ・時間・温度。注ぎ方)

いっぱい要素があってコーヒー淹れるのって大変だと思われた方もいるかもしれません。

普段自宅でコーヒーを淹れない人からすれば、まず粉ではなくコーヒー豆から挽いて、湯量やスピードを意識ながら時間を計ってコーヒーを淹れているというだけで、面倒くさい人だとかコーヒー好きだと思われるかもしれませんが、コーヒーを「料理」だと思えば、だいぶコーヒーに対する意識は変わるのではないでしょうか。

著者も美味しいコーヒーを抽出するための第一歩は、何と言っても「素材選びにつきます」言うなれば、料理と同じようにいかに良い素材を買い付けることができるのか、という作業に似ていると思います。と言われていて非常に共感しました。

コーヒー豆を選ぶ際のおすすめの手順も紹介いたします。

①生産国や品種、清算処理などによる「味わいの特徴」を知る。
②いろいろと試しながら、「自分好みの味」をざっくり把握する
③焙煎度合いを「酸味」と「苦味」の好みから選択するこれが自分好みの味を知り、「世界一美味しいコーヒー」を淹れるための第一歩です。

僕も美味しいコーヒーを飲むために肝心なところは、まずは自分が美味しいと思うコーヒー豆を知っていて、その豆を買っているかだと思っています。

焙煎度合いについてのチャプターでは、

私は「浅煎りでなくてはいけない」なんてことは微塵も思ったことはありません。前述のとおり、深煎りで輝く素材もありますし、浅煎りで輝く素材もあります。大切なことは、焙煎度合いに惑わされることなく、自身の好みの味わいを追求し、結果として選んだコーヒーの味わいが浅煎りか、中煎りか、深煎りか、という自然な流れを追求できるようになることだと思います

と言われていて、非常に共感しました。

また、風味特性を決める「生産処理」にも言及されています。
生産処理は大きく①ウォッシュド②ナチュラル③パルプドナチュラルの3種類に分類され、最近のコーヒーショップではコーヒー豆を購入したらきちんと生産処理についても記載しているお店も増えてきているので、この生産処理による違いも本書で詳しく学べます。

ただ、抽出方法に関しては本書通りにするのではなく、あくまで参考にさせて頂く程度に留めておこうと思っています。というのもすでに自分の中での抽出方法がある程度固まっていて、著者のやり方も試してはみるけども、自身の好みがすでにある程度わかっている(つもりの)自分からすると豆によっては著者の抽出方法で”自分好み”のコーヒーにならないと感じているからです。

著者の推奨抽出比率はドリップの場合、お湯100グラムに対して、コーヒー豆を6~8グラムとされています。対して僕が「世界一美味しい」と思うコーヒー店の抽出比率はコーヒー豆20グラムに対して抽出量60グラムだからです。

なので抽出比率に関しては、科学的な検証はありませんがオオヤミノルさん著「珈琲の建設」で書かれていた下記表現が個人的にはしっくりきてます。

コーヒーって3段階の味があるの。デミタスと、美味しい出がらしと、美味しくない出がらし。
三つのものが混じってコーヒーって出来上がっている。これは科学的な検証ではないんだけど、大体の人の焙煎した豆をドリップして飲んだとき10グラムで30ccの純水なピュアなコーヒーが出ます。その後すごくまずくってエグ味の原因になる出がらしが出ます。それがだいたい50~60cc。その後出がらしの出がらしみたいな無害なものが出てくる。本当は最初の30ccの後の50ccを捨て、後の出がらしで混ぜれば結構美味しいコーヒーができる。

僕はもちろん豆の個性が出ているのであれば浅煎りでもなんでもいいのですが、比較的深煎りで個性の出やすい濃厚なネルドリップで淹れたコーヒーが好きな傾向が強いため、ペーパードリップで淹れた美味しいコーヒーについては詳しくないので、あまりピンと来ていないだけかもしれません。

そういう意味で抽出に関しては本書で紹介されているペーパードリップ方法に関しては大変参考になりました。ネルドリップについては以下の記事でまとめているので参考にして頂ければ嬉しいです。

シンガポールのローカルコーヒーショップでは主流のネルドリップのすすめ

 

あと個人的に面白かったのは、「バリスタの秘策は冷凍保存」P94 の内容でした。

私がご提案するコーヒー豆は購入後、問答無用で「冷凍して保存する」という方法。
アメリカ・オレゴン大学のChristopher Hendon助教授らが「The effect of bean origin and temperature on grinding roasted coffee」と題した論文を2016年に発表しました。
この研究によると、コーヒー豆の温度が低ければ低いほど、粒度分布(豆を挽いた際の大小の粒子のバラつき)が狭くなることがわかっています。つまり、同じコーヒー豆、同じ挽き目を使用しているにもかかわらず、豆の温度が違うだけで、異なる粒度分布を生み出すことがわかったのです。
ワールド・バリスタ・チャンピオンシップにおいても近年、コーヒー豆をわざわざ凍らせて抽出に臨むバリスタが多くいます。なぜなら、低い温度で凍らせた方が、粒度分布を狭め、効率よく粉の表面積を大きくできると科学的に明らかになったからです。
なお冷凍した場合でも、挽く際に解凍する必要はありません。豆は凍ったまますぐに挽いてください。

僕も日本帰国時にお気に入りのコーヒー豆を大量に購入して飲みきれない豆はすぐに冷凍保存していて、冷凍保存における味の影響については、わからない事だらけだったので、この研究結果の内容については非常に興味深かったです。

また、本書では最後のチャプターでおすすめコーヒーグッズ18も紹介されてますので、道具にこだわってみたい方への参考にもなるかと思います。ちなみに著者の愛用されているらしい「Comandante」という手挽きミルは素晴らしい粒度を作り出せるので個人的にも超オススメです。

 

自分もオススメコーヒー道具については別途記事にしてるので、こちらの記事も参考にしていただければ嬉しいです

ネルドリップ歴10年のコーヒー好きアマチュアがオススメするコーヒー道具

いかがだったでしょうか?

個人的には知らない事や勉強になることも多かったのですが、美味しいコーヒーを淹れるためのハウツー本として読むよりは、著者のコーヒーに対する思考に共感するところが多い点や、論理的な思考でコーヒーの味わいについてきちんと言語化された著者の言葉を知れるのが、読み物として面白かったです。

コーヒー初心者~プロの方を対象に楽しめる内容になっていると思うので、購入の前に一度著者のYoutube動画やインタビュー等を読んでから購入検討されることをオススメいたします。

http://www.highflyers.nu/ocu/hidenoriizaki/

余談ですが、コーヒー関連の本でその他自分のオススメする本は以下です。

ここまで読んで頂きありがとうございます。


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